Web3を知らなかった主婦が初心者さんにWeb3をわかりやすく説明します

当ページのリンクには広告が含まれています。
パソコンとスマホ

最近、ネットや書籍で「Web3」というワードを見かけます。

ただ、Web3って一体何のこと?と疑問をもつのではないでしょうか。

筆者もつい最近まで、Web3とは何のことなのかまったくわかりませんでした。

SNSを利用していても、Web3というワードがよく登場していましたので、「今のトレンドワードなんだろうなぁ」と多少の興味はありました。
ただ、仮想通貨というワードも出ていましたので、「結局のところ、Web3って投資話なんだ」と、投資とは無縁の私には関係ない世界の話だと思っていました。

しかしインターネットを四六時中触っている身としては、トレンドワードについていけないのも嫌でしたので、コツコツとWeb3の情報収集をしていました。

この記事は、Web3を勉強した筆者の備忘録です。
Web3を知らない方でもWeb3の仕組みが理解できるよう、わかりやすい説明を意識しました。
「なんだWeb3ってこういうことなのか!」と理解の一助となれば嬉しいです。

Web3とインターネットの歴史、Web3でできることと課題、理解を深めるために覚えておきたい用語をわかりやすく説明します。

※この記事を公開するまでに、情報に誤りがないか何度も確認しましたが、あくまでも素人記事です。
内容に誤りがあるかもしれませんのでご承知おきください。
念のため、ソフトウェア会社に勤める夫にざっと確認してもらいました。(ただしWeb3は専門外です)

目次

Web3とインターネットの歴史

Web3は、2018年にイギリスのコンピューター科学者、ギャビン・ウッド氏が提唱したインターネットの概念です。

ギャビン・ウッド氏はイーサリアム財団元CTOで、Web3 Foundationを設立。PolkadotやKusamaの創始者でもあります。

正直なんのこっちゃ?ですが、とにかくギャビン・ウッドさんはWeb3の先駆者、天才プログラマーです。

Web3の要であるブロックチェーンは、これまでのインターネットが抱える課題を解決する新しい技術です。

現在のインターネットの課題は、巨大IT企業に情報や富が一極集中していることです。


しかしWeb3は次世代分散型インターネットといい、ブロックチェーンという技術により一極集中している情報や富を分散させる仕組みができます。

会社組織の在り方や稼ぎ方が変わり、バーチャルな世界で当たり前のように買い物や交流が楽しめる。
私たちの生活を大きく変える可能性を秘めています。


Web3は現在、多くの企業が巨額の資金を投じてプロジェクトを進めている、まさに成長産業といえます。

Web3とはWeb1、Web2に続く第3世代です。
最初に、これまでのインターネットの特徴と課題は何か、順を追って確認しましょう。

Web1

Web1はネット初期です。

日本でインターネットが普及し始めたのは、1990年代です。
その頃のインターネット環境は通信速度が遅く、サイトに載せられるのはテキストと解像度の低い画像のみ。
もちろん今のように動画は表示できません。

また、インターネットユーザーは一部の人だけでした。
サイトを作るには高度な技術が必要で、なおかつインターネットをつなぐパソコンが高額な為です。
誰もがインターネットを利用できる環境ではありませんでした。

しかし、1995年にマイクロソフト社がウインドウズ95を発表し、パソコンが一般家庭に普及します。

ファミリーとパソコン


画期的なユーザーインターフェイスにより、何も知識がない素人でも簡単に操作が可能となりました。

ウインドウズ95の発売を皮切りに、YahooジャパンやGoogleといった検索エンジンサイト、2ちゃんねるの掲示板など、さまざまなユーザー向けサービスが登場します。
また、ネット通販サイトが開設されるようになり、インターネット上で買い物ができるようになりました。

インターネットが身近になったことで、暮らしは大きく変わります。

ただ、次々とサービスが登場する中で、まだインターネット上のルールが定まっていなかったことと、発信者の顔が見えないことで沢山の問題が起こります。

さらにコンピューターウィルスが広がり、各地で大きな被害を出しました。

このように、インターネットを安全に使用するための課題は山積みでした。

Web2

その後、技術革新や法整備が進んでいき、インターネットは飛躍的に進化。
現在のWeb2の時代が到来します。

GAFAMをはじめとするアメリカの巨大IT企業のサービスにより、私たちの生活はどんどん快適になりました。

GAFAMとはGoogleやAmazon、旧Facebook(現Meta)、Apple、Microsoftの略称です。

Web2の最大の特徴は、SNSやブログが登場し、ユーザー間で交流できるようになったことです

Web1の時代は、ユーザーができるのはデータを閲覧することだけでした。
しかしWeb2の時代になると、データを閲覧するのに加え、ユーザー側からの編集が可能になります。

SNSやブログで読み手側からも書き込みできるようになり、ユーザー同士の交流が活発になりました。
また、自分たちが投稿した画像や動画も、ユーザー間で気軽に共有できるようになります。


インスタグラマー、ユーチューバーなど、影響力を手に入れた個人が登場し、インターネットで収入を得られるようになったのも特徴です。

交流したり撮影したりする人

Web2の時代はスマートフォンが登場したことにより、インターネットがより身近になりました

Web1の時代は、インターネットを使うには高額なパソコンを所有することが必須です。
しかしWeb2の時代は、安価なスマホがあれば、誰でもインターネットを活用できるようになったのです。

ただ、Web2は一部の企業が個人情報とデータを独占しまうことにより、問題も浮き彫りになりました。


Web2の問題点は以下の通りです。

  • サイバー攻撃による個人情報の流出
  • アクセスが集中することにより、サーバーがダウンする
  • 運営母体の都合で、アカウントやコンテンツが削除される
  • サービスを利用することで個人の思考が知られてしまう


現在なんらかのサービスを利用する時は、IDやパスワードを設定するために個人情報を登録し、サービス提供側に管理してもらいます。
しかし、サービス提供側のサーバーに個人情報が集約されることにより、データが流出するリスクと隣合わせです。
実際に企業側のミスにより、一部ユーザーの個人情報がインターネット上に閲覧可能になりました。

当社委託先であるグループ会社の従業員が、2021年1月および4月に、ポイント付与漏れの調査を行いました。その後、2021年9月12日に、その調査を行うためのプログラムおよび対象となる決済に関する情報を当社として意図せずに「GitHub」上にアップロードしてしまい、それが閲覧できる状態になっていました。
当該情報に対するアクセス状況の調査の結果、部外者からのアクセスがあったことを確認しています。また、現時点で当該情報が検索エンジンやアーカイブサイト上に残存していないことを確認しております。

出典:LINE 【LINE Pay】一部ユーザーのキャンペーン参加に関わる情報が閲覧できる状態になっていた件のお知らせとお詫び

また、運営母体の都合により、SNSのアカウントや投稿が急に削除されることもあります。
このことにより個人のインターネット活動に支障をきたしてしまいますので、投稿したコンテンツで収入を得ている人には死活問題です。

投稿したコンテンツの著作権は、投稿した人にありますので、本来、著作物は本人の許可なく他人が削除することもできません。
しかしSNSの利用規約には、ユーザーが投稿したコンテンツは運営側が自由に使える権利があるとする内容になっています。

利用者のコンテンツについて、その権利が弊社に帰属すると弊社が主張することはありませんが、利用者はコンテンツを使用するためのライセンスを弊社に付与します。

出典:Instagram利用規約

つまりSNSで投稿したコンテンツは自分のものではありますが、SNSを利用する限りは運営側のものであるということです。

また、インターネットを利用することで、サービス提供側に自分の思考が知られてしまうことも問題です。
たとえば、インターネットを利用していると、同じ広告がずっと表示されます。
これをターゲティング広告といいます。
ターゲティング広告が表示される仕組みは、ユーザーがどこをクリックしたか、何に興味があるのか、サービス提供側に把握されているからです。

このように、先回りして自分が欲しいものの広告を表示してくれるのは、ユーザーにとって便利な機能です。
しかし、個人の思考を知られることのリスクもあります

海外では企業のサービスから収集した個人情報が選挙活動に使われ、大きな社会問題となりました。

2018年3月、SNS世界最大手のFacebook社から、選挙コンサルティング会社である英ケンブリッジ・アナリティカ社が大量の個人情報を不正に取得していたことが明らかになった。ケンブリッジ大学の研究者が学術目的調査を装ってFacebook上で提供していた性格診断アプリから取得したデータが、利用規約に反してケンブリッジ・アナリティカ社に渡されていたものであり、不正に取得された個人情報は8,700万人分以上にも及ぶ。ケンブリッジ・アナリティカ社は、それら膨大な個人情報を分析し、同社が支援する選挙運動に利用しており、2016年のアメリカ大統領選挙や、同年の英国EU離脱国民投票にも多大な影響を与えたとされる。

出典:総務省 Facebook社の個人情報漏えい

個人情報が外部に漏れることで意図しない広告が表示され、いつの間にか相手の思惑通りに自分の思考が偏ってしまう危険性もあります。

Web3

Web3は、ブロックチェーン技術を基盤としたサービス群の総称です。

Web3のサービス群とはNFTやDAO、Defiなどのさまざまなアプリケーションを指し、これらはDapps(分散型アプリケーション)とも言います。
(NFTやDAO、DefiについてはWeb3の重要ワードなので、後ほど説明します)

現在主流であるWeb2は、一企業に個人情報を預け、アカウントや取引情報を管理してもらう体制です。
ただ、サーバーにデータを集約することで発生する個人情報の流出や、プライバシー侵害、不正アクセスなどの問題があります。

しかしWeb3に変わることで、Web2の問題はクリアできます。
Web3はP2P(Peer to Peer)というネットワーク接続により、今までのように企業のサーバーを経由せずに、直接、端末同士でデータをやりとりするからです。

それによりサーバーのハッキング被害や、アクセス集中によるサーバーダウンが防げます。

さらに、ブロックチェーン技術によりデータは暗号化され、皆で同一のデータを管理し、互いに監視し合う仕組みができますので、改ざんは困難です。

Web2からWeb3の変革


そもそもWeb3のサービスを利用する時に、個人情報は必要ありません。

Web3のサービスの利用時にはウォレット(仮想通貨を保管する財布のようなもの)でログインしますが、ウォレットの仕組み上、ログインの際にIDやパスワードは必要ないからです。

しかしWeb3には課題があります。

まずは詐欺に遭ったり、犯罪に荷担してしまったりする危険性が考えられるでしょう。

Web3のサービスは、ブロックチェーン技術により匿名性が担保されます。
これによりユーザーのプライバシーは守られますが、匿名で活動できるからこそマネー・ローンダリングや詐欺が横行しています。

マネー・ローンダリングとは、犯罪組織が犯罪によって得られた資金を次々と移動させ出所をわからなくする行為。資金洗浄ともいう。

とくに本人確認を行わない取引所での仮想通貨の売買や、暗号資産の交換と関連付けた投資勧誘でトラブルが起きています。

次にWeb3のサービスは、問い合わせ先がありません。

Web2では、サービス利用時にデータを企業に管理してもらいますので、何か問題が発生した場合もヘルプサポートで解決できました。しかしWeb3のサービスは、企業にデータを預けませんので、もちろんヘルプサポートは受けられません。
サービスはデータを所有する個人の責任のもとで利用します。
万が一トラブルが発生しても、自分で解決方法を調べて対処しなければなりません。

現状では、何も知識のない人がWeb3のサービスを利用するのはハードルが高いといえるでしょう。

それからWeb3は言語の壁もあります。
アプリケーションはほぼ日本語対応していませんので、英語ができないと利用するには不便です。

さらにバグが発生しやすいです。ITに精通していなければ対応は困難かもしれません。

Web3業界は歴史が浅く、法律やルールの整備が追い付いていないことも課題です。

このようにWeb3が世の中に浸透するまでには、いくつかの課題が残されています。
ただし今後はどんな人でも使いやすい仕組みが作られるでしょう。
Web3のプロジェクトやサービスは、企業が巨額の資金を集め、研究や開発が着々と進められていることは紛れもない事実です。

2022年6月に、政府が掲げた骨太の方針では、今後はWeb3の推進に向けた環境整備の検討を進めていくと発表しています。

(多極化された仮想空間へ)
より分散化され、信頼性を確保したインターネットの推進や、ブロックチェーン上で
のデジタル資産の普及・拡大など、ユーザーが自らデータの管理や活用を行うことで、新
しい価値を創出する動きが広がっており、こうした分散型のデジタル社会の実現に向けて、
必要な環境整備を図る。
そのため、トラステッド・ウェブ(Trusted Web)の実現に向けた機能の詳細化や国際
標準化への取組を進める。また、ブロックチェーン技術を基盤とするNFTやDAOの
利用等のWeb3.0の推進に向けた環境整備の検討を進める。さらに、メタバース71も含めた
コンテンツの利用拡大に向け、2023 年通常国会での関連法案の提出を図る。Fintech の推
進のため、セキュリティトークン(デジタル証券)での資金調達に関する制度整備、暗号
資産について利用者保護に配慮した審査基準の緩和、決済手段としての経済機能に関する
解釈指針の作成などを行う。

出典:経済財政運営と改革の基本方針2022年

この流れから、私たちは変わりゆくインターネットの進化に適応していかなければならないでしょう。

なお、Web3が普及することでWeb2が衰退するのかというとそうではなく、補完し合う関係になると予想されています。
中央集権的なWeb2と権力分散型のWeb3は、それぞれにできること、できないことがあるためです。

Web3でできること

Web3の時代が来ると、私たちのインターネット環境はどう変わるのでしょうか。

Web3でできることは以下の通りです。

  • 国境を越えた個人間の取引ができる
  • 著作権侵害の問題を解決できる
  • 雇用が生まれる・稼ぎ方が変わる
  • SNSで自由に表現できる
  • 煩わしい広告を非表示にできる

それぞれ解説します。


国境を越えた個人間の取引ができる

Web3の世界では、円やドルなど国ごとに決められた貨幣ではなく、仮想通貨という世界共通の通貨を使ってサービスを購入します。

仮想通貨を保管するウォレットをサービスに接続することにより、個人間で簡単にお金のやりとりができます。
国境を越えた自由な取引が実現するのです。

著作権侵害の問題を解決できる

Web2の時代になると、ユーザー間での画像や動画などの共有が活発になり、楽しみ方も増えました。
一方、インターネット上ではコピーコンテンツが横行するようになりました。

これらの著作権侵害の問題は、Web3の核であるブロックチェーン技術によってすべて解決されます。

ブロックチェーンの履歴をたどると、コンテンツをアップした人は誰か、どこでどう使われているのかなどの情報がわかるようになりますので、著作者が明確になります。

雇用が生まれる・稼ぎ方が変わる

Web3が浸透し、ビジネスが現実世界から仮想世界(メタバース)へとシフトすると、新しい雇用が生まれる可能性もあります。

Web3領域のメタバースでは今、現実と同じように会社や店舗が作られています。
バーチャル店舗については、飲食、アパレル業界も参入しています。
今後はさらにその動きが活発になります。

メタバース関連の求人サイトもあります。
メタジョブ!

メタバース内で仕事をする人

Web3のおもしろい所は、Play To Earn(ゲームで稼ぐ)という考え方がある点です。NFTやDefiの要素を持ったオンラインゲームで遊び、報酬が得られます。

たとえば東南アジアでは、アクシー・インフィニティというブロックチェーン技術を活用したNFTゲームで、雇用が生まれています。
新型肺炎の流行により職を失った人が投資家に雇われてゲームし、生活費を稼いでいるというのです。

日本国内では、My Crypto Herosというロールプレイングゲームが人気です。
ストーリーを進めながらNFT化されたキャラクターやアイテムを収集し、それらをOpenSeaなどのマーケットプレイスで売買すると暗号資産が得られます。

子どもの頃、ゲームで稼いだお金が、実際のお金だったら大金持ちになれるのにと思ったことがあります。

その想像の世界が、Web3の世界では現実のものとなっているのです。

Web3には夢がありますね。

SNSで自由に表現できる

今後、Web3の特徴を生かした分散型SNSに移行すると予想されています。


分散型SNSは、今のSNSのようにユーザーとのやりとりの中で運営会社は介在しません。
したがって、コメントの規制が入ることはなく、表現の自由が保たれます。

もちろん急にアカウントが凍結されることもありません。

分散型SNSはすでにいくつか登場しています。

これらはウォレットをサービスに接続するだけで誰でも参加できます。

おもしろいのは、投稿によって報酬を得られる仕組みがあることです。
今のSNSの「いいね」がお金に代わるというイメージです。
この仕組みにより、投稿の質は向上されることが期待されています。

ただ残念ながら上記のSNSは、日本語対応はしていませんので、利用するには言語の壁があります。

言語の問題がクリアになれば、日本での利用者も増えるでしょう。

煩わしい広告を非表示にできる

Web3サービスのアプリケーションには、Braveという広告を非表示にできる検索ブラウザがあります。

現状、インターネットを利用していると、ポップアップウインドウやバナー広告など、サイト側からの一方的な広告が表示されます。
それらの広告はコンテンツを閲覧するのに煩わしいと感じることもあるでしょう。

Braveには広告のブロック機能が備えられています。
それにより、ウェブサイトやYouTube動画の広告は表示されませんので、コンテンツを快適に閲覧できます。

さらに広告が表示されなくなることで、読み込みスピードが速くなるのもメリットです。

そのため、グーグルクロームやサファリからBraveに乗り換えるユーザーも増えています。

Web3を語る上で覚えておきたい重要ワード

以下の用語は、Web3領域のワードです。

  • ブロックチェーン
  • スマートコントラクト
  • 仮想通貨
  • メタバース
  • DAO
  • Defi(分散型金融)
  • NFT

Web3を理解する上で、言葉の意味を理解しておきましょう。

ブロックチェーン

ブロックチェーンは、インターネット上でやり取りされるデータを記録するデータベース技術です。

暗号化された情報がブロックという箱の中に時系列で格納されており、ブロックチェーンのネットワークに参加するユーザーが、各自で情報を管理します。

ブロックチェーンのイメージ図

各ブロックの中には日付と時刻、取引内容が記録されており、それらの情報はハッシュ値として計算され、暗号化されます。

ブロックチェーンには相互監視、暗号技術という仕組みがあるからこそ、データの改ざんが困難です。

たとえば、1つのブロックの取引内容を改ざんすると、新しいハッシュ値に書き換えられます。
しかし次のブロックには、以前計算されたハッシュ値が残されているため、新たに作成されたハッシュ値との整合性がとれません。よって、どこで改ざんが発生したのかがわかります。

もし改ざんを成立させるためには、後続するすべてのブロックのハッシュ値を変更しなければなりませんが、現実的には困難であるとのことです。

スマートコントラクト

スマートコントラクトは、あらかじめルールや仕組みをプログラムで設定しておくことで、自動的に処理する技術です。

Web3のサービスはスマートコントラクトをベースとして作られており、仮想通貨取引やマーケットプレイス、ゲームなどのさまざまな分野で自由に取引ルールを作れます。

たとえば仮想通貨であれば、決められた条件を満たせば、誰から誰へ、いくらの通貨を送るというようなプログラムが自動的に処理されます。

スマートコントラクトは、プログラムによって取引ルールが確実に実行されるので、信頼性は高いです。
取引において人の手を介さないため、人為的なミスが起こりません。

スマートコントラクトの技術があれば、バックオフィス業務のオートメーション化ができるため、会社は人件費の削減ができます。
また、仲介者のコストが不要になることで利用者側は仲介手数料がかかりません。

仮想通貨(暗号資産)

仮想通貨(暗号資産)は、インターネット上で取引する際に使われるデジタル通貨です。

法定通貨のように現実で使えません。

投資対象というイメージの強い仮想通貨ですが、通貨の銘柄によっては公共料金の支払いや一部店舗での決済、寄付金などの使い道もあります。

仮想通貨には、約2万種類の銘柄があります。

最初に誕生したビットコイン、ついでイーサ(イーサリアムプラットフォームで使われる通貨)が現在、仮想通貨の2大シェアです。

Web3.0系サービスに関連した仮想通貨の銘柄もあり、今後、メタバースやNFTの普及とともに需要が高まると予想されています。(ポルカドット、ファイルコインなど)

仮想通貨の取引所は年中無休で開いており、いつでも取引できます。

さらに、仮想通貨は少額(0.03円など)から買えるため、投資初心者や資金のない人でも投資が始めやすいです。
(最小注文数量は仮想通貨の銘柄や取引所によって違います)

仮想通貨のコイン

しかし仮想通貨を購入する際の注意点もあります。

まず仮想通貨は取引量が少ないことから、価格変動の差が激しいです。そのため、暗号資産の価格が急落し、損をすることもあります。

次にマネー・ローンダリングに荷担してしまう、あるいは詐欺に遭う危険性です。

なかでも海外の取引所や、国内でも金融庁に無登録の取引所の中には、最初から詐欺が目的で運営しているケースもあります。

そのため、金融庁、財務局に登録された仮想通貨交換業者から購入するのが安全です。

金融庁に登録されている国内の暗号資産交換業者登録一覧と、取り扱う仮想通貨のリスト

取引所選びとともに、コインの銘柄に信頼性があるかどうかも重要です。

とくに新規のコインは、詐欺的なコインが含まれていることもあります。
初心者は多くの人に需要がある仮想通貨を選ぶことが無難です。

さらに、CEX(中央集権型)の取引所においては、サーバーのセキュリティの脆弱性が突かれ、ハッキングに遭うリスクもあります。

CEXは法人などの中央組織が運営しており、金融庁に登録されている業者は、CEXに該当します。

CEXの取引所では、取引を始めるにあたり、ウォレット(預金口座)と秘密鍵を預けますので、セキュリティの高い取引所を選ぶことが重要です。

過去に、国内の取引所がハッキングの被害に遭い、仮想通貨が大量に流出してしまう事件もありました。

2014年に起こったマウントゴックス事件は投資業界に衝撃を与えました。マウントゴックス社のサーバーが何者かによってハッキングされ、ビットコイン(BTC)と預かり金が大量流出してしまったのです。

失われたビットコイン(BTC)の総額はユーザー保有分の約75万BTCと自社保有分の約10万BTCで、当時のレートでは約470億円に相当しました。

また、顧客から預かっていた資金の28億円も犯人に奪われてしまいます。この事件が打撃となり、マウントゴックス社は莫大な負債を背負うこととなりました。そして、会社更生法の適用を申請し、事実上、マウントゴックス社は経営が破綻してしまったのです。

出典:Coincheck マウントゴックス事件の全貌と暗号資産(仮想通貨)の安全性を見極める3つのポイント

セキュリティの高い取引所として、近年注目されているのがDEXです。

DEXはブロックチェーン技術を基盤とした分散型取引所で、高度なセキュリティをもち、ハッキングに強いという特徴をもちます。
DEXは分散型金融Defiの一種です。

代表的なDEXには、

があります。

DEXの取引は、スマートコントラクトにより自動実行されます。
仮想通貨のウォレットを同期すると、ユーザー同士で直接取引が可能。
秘密鍵は自身で管理するため、本人確認も不要です。

また、仲介業者が存在しないので、仲介手数料は発生しません。(若干の手数料や、送金取引の承認作業にかかるコストは発生します)

ただしDEXはCEXより参加者は少ないため、取引が成立しにくいです。

カスタマーセンターのようなものがなく、法整備も進んでいません。
秘密鍵の保管や取引は、すべて自己責任のもとで行います。
よって、DEXの取引は初心者には少々難易度が高いです。

メタバース

メタバースは、インターネット上の3Dの仮想世界です。
自分の分身となるアバターを作り、仮想世界の中で活動します。

メタバースの市場は、2024年までに8,000億ドルの市場規模まで成長することが予想されており※、MetaやMicrosoft、パナソニックなどの国内外の有名企業もメタバースを導入しています。
※参照:Salesforce
(なおMetaは旧Facebookのことです。メタバース事業にシフトするため、2021年10月に社名を変更しました。)

現在、メタバース上には会社や店舗が次々と作られており、今後は物やサービスの売買取引が活発になります。

決済方法は現在、ビットコインやイーサといった既存の仮想通貨や、独自発行の仮想通貨が使われることが多いです。
しかしアメリカの大手クレジットカード会社では、メタバースでカード決済サービスを提供しようとする動きがあり、将来的には現実世界と同じようにクレジットカード決済ができるようになる可能性があります。(2022年9月時点)

メタバースを用いたゲームもあります。
最初に登場したのは、2007年に発売されたセカンドライフです。
その後、マインクラフトやフォートナイト、Roblox、あつまれどうぶつの森が発売されました。

そして、仮想通貨やNFTの要素が含まれた「Play to Earn」のメタバースゲームが登場し、
ゲームで遊んでお金が稼げるようになりました。

その他イベントや、近年ではミーティングなど、ビジネスの場でも活用されています。

メタバースの課題には、通信環境の不安定さや混雑さが挙げられます。
しかし今後5G、6Gの高速大容量の通信インフラが整うことで、改善されると考えられています。

また、現状ではVRゴーグルが重いことも課題です
VRゴーグルとは、バーチャルリアリティを体験できる特殊レンズがついたゴーグルです。
メタバースは、PCディスプレイでも利用できますが、VRゴーグルを活用することで実際にその場にいるかのような体験ができます。

今後、一般化に向けて軽いものが開発されると予想されています。

DAO(自立分散型組織)

DAOはブロックチェーンやスマートコントラクト、仮想通貨を軸として作られたメタバース上で運営する組織です。

DAOを設立するときは、現実の株式会社とは異なり面倒な手続きは不要。
インターネットの手続きだけで、誰でもコミュニティを作れます。

プロジェクトに参加できるのは、ガバナンストークンを所有している人です。

DAOの特徴は会社組織のようにトップが存在せず、プロジェクトは誰でも参加できることです。

ただし経営に参加できるのは、ガバナンストークンを保有する人のみです。
ガバナンストークンとは、DAOで意思決定を行うための投票権を得られる仮想通貨です。

ガバナンストークンを保有することで、組織運営に対する提案や意思決定にかかわる投票に参加できます。
なお、意思決定権がもてるのは、ガバナンストークンの保有数によって決まります。
持ち株の比率で意思決定に参加できる、株式と同じ仕組みです。

ガバナンストークンを手に入れる方法は2通りあります。

第1にDAOのプロジェクトに貢献し報酬として受け取る方法です。
DAOは、システムの利用者がシステム全体にとって恩恵のある行動をすることにより、組織が成り立つことを目標としています。(トークンエコノミーといいます)
DAOのプロジェクトに貢献することにより、報酬としてガバナンストークンを受け取れます。

第2に取引所でガバナンストークンを購入する方法です。

投票で決定された事項は、スマートコントラクトにより自動的に実行されます。
したがって、人為的な改ざんや不正が発生しません。
どのような組織でどのようなルールなのか、活動内容はすべて一般公開されますので、透明性が高いです。


デメリットは参加人数が多ければ多いほど、意思決定のスピードが遅くなることです。
ただし少人数の組織においては、むしろ会社組織より意思決定が早くなるケースもあります。

また、DAOはシステムがまだ成熟しておらず、セキュリティ面に課題があります。

過去に、イーサリアムのブロックチェーン上に構築された組織がシステムの脆弱性を突かれ、ハッキング被害に遭いました。その際、多額のイーサが流出されました。(The DAO事件)

Defi(分散型金融)

Defiは分散型金融といい、証券会社や銀行を介さず取引が行える、いわば無人の金融サービスです。

対義語にCefi(中央集権型金融)があります。

Defiはスマートコントラクトにより、需要と供給に応じて利率を自動算定するなど、さまざまな処理が自動実行されるようプログラムされています。

したがって人に起因するミスや誤作動を起こすことがなく、信頼性は高いです。

また仲介機関が存在しないため、手数料はかかりません。

さらにブロックチェーンの技術により、データの改ざんに対して、強い耐性を備えているのでセキュリティ面も安心です。

ブロックチェーン技術により透明性は高く、誰でも閲覧や検証ができます。

しかし透明性があるゆえ、送金元や送金先、送金金額などの取引履歴が他のユーザーに知られてしまうため、プライバシーが欠如してしまう課題も。

現在、イーサリアムにzk-SNARKsという技術を実装することが検討されており、その技術により取引内容を開示せずにやりとりできるようになります。

  • zk-SNARKs(ゼットケー・スナーク)は、ゼロ知識証明によって仮想通貨の取引を匿名化し、機密性を保ちながらデータの信頼性を担保する技術
  • Defiはイーサリアムブロックチェーンを前提に構築された金融サービス

また、ブロックチェーン技術の仕組み上、スマートコントラクトによって締結された契約内容の修正や解除ができません。そのため、柔軟に対応できる仕組みが求められています。

法整備が追いついていないことも課題です。

NFT(非代替性トークン)

NFTは、デジタルコンテンツが世界でただ一つであることを証明する技術です。

デジタルコンテンツには、デジタルアートや写真、動画、音楽などがあります。
また、ゲーム内のアイテムやSNS投稿も、デジタルコンテンツに該当します。

SNS投稿で有名なのは、Twitter創業者ジャック・ドーシーの初ツイートのNFTです。
オークションに出品したところ、約3億円で落札されました。

近年ではファッションやゲーム、スポーツ、音楽などの分野で、さまざまなNFTが誕生しています。

NFTのマーケットプレイスで有名なのは、OpenSeaです。

OpenSeaでは、国内外の有名アーティストや個人のNFT作品が売買されており、今国内で人気のCryptoNinjaのNFTコレクションも取引できます。

OpenSeaでは作品を無料でNFT化が可能。(なお、NFTを作成・発行することを「ミント」といいます)
販売するときは、固定価格かオークション形式か、どちらかの販売方法を決めてから出品します。
ただし初回の出品では、ガス代(=手数料)が発生します。

これまでデジタルコンテンツは、所有権を明確にすることができませんでした。
しかし、デジタルコンテンツをNFTに紐づけることで、ブロックチェーン上に作品の取引情報が記録され、データの所有者を証明できるようになります。

仮にデジタルアートをコピーされても、ブロックチェーンの取引履歴をたどることで、そのNFTが本物であるかどうかがわかります。
さらに取引履歴はブロックチェーンの仕組みにより改ざんが困難。
ネットワークの参加者全員が閲覧できるため、自分のデジタルコンテンツが本物であることを裏付けられるのです。

また二次流通の場合、今まではアーティスト側に利益は入りませんでした。
しかしNFT技術により、転売されたときに著作者に一定割合の利益が還元されます。

NFTはデジタルコンテンツを制作販売したいクリエイターにとって、まさに魅力的な技術です。

Web3時代に備えておきたいスキル

インターネットとパソコンと人

Web3の時代はまだまだ先の話です。
ただ今後、Web3の様々なサービスが登場し、私たちのインターネット環境が変わる可能性はきわめて高いです。

新しい時代に備えておきたいですね。

私たちは、どのようなスキルがあればよいのでしょうか。

自分で調べるスキル

Web3は管理者がいない完全な自己責任の世界なので、自分で調べるスキルは必要です。

Web3のサービスを利用するには、ブロックチェーン、仮想通貨、NFT、Defiなどの知識やリテラシーがあることは前提条件です。

匿名で活動できるからこそ簡単に人を騙せるのがWeb3の世界。

仮想通貨の話題性を利用した詐欺や悪徳商法も横行しています。

儲け話を聞けばそこに飛びつくのは人の性ですが、儲け話の誘いに乗ることのリスクは、常に考えておくといいでしょう。

とにかく「儲かる」「早くやらないと損」という誘い文句には、踊らされないことです。

表面的なことしか見ない人や、受動的に情報を受け取る人は、当然、騙される確率も高くなります。

能動的に学ぶことが大切です。

そういう私もWeb3はまだまだ表面的なことしかわかっていませんので、もし実際に試すとしたら、もう少し勉強が必要かと思っています。

英語のスキル

Web3のサービスは、現時点では言語がすべて英語ですので、英語が苦手な人は挫折する可能性が高いです。

Web3が浸透することにより、いずれ日本語で対応できるようになるかもしれませんが、やはり現時点では英語のスキルは必須です。

先日、Web3の世界を体験するためにDecentraland(ディセントラランド)をお試しプレイしてみましたが、言語は日本語対応していませんでしたので、英語のできない自分にはちょっと無理かなぁと思いました。

グーグル翻訳に頼りっぱなしでした。

やはり言葉がわからないと、途中で間違った操作をしてしまうのではないかとハラハラドキドキしますね。

将来に備えてWeb3の仕組みを理解しよう

ゴーグルを付けた女性

Web3の時代になると、大企業による中央集権的なインターネット環境から解放され、個人が主役になれる自由なインターネット環境へと変化します。

国境を越えた個人間の売買取引、管理者のいないSNS、メタバースでのコミュニケーションなど、個人がインターネット上でやりたいことを自由に表現できる可能性を秘めています。

ただWeb3は言語問題や通信環境、法の整備、バグの発生など多くの課題が残されており、世に浸透するまでにはまだまだ先の話です。

しかし現在、大手企業がWeb3のプロジェクトに巨額の投資をし、サービスの検討を進めています。
いずれは今自分たちが利用しているSNSと同じ感覚で、簡単にWeb3の世界へ入れる日が来るでしょう。

インターネットがどう変わるのか、Web3の今後の動向に注目したいですね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次